最近やたらとル・クルーゼの鍋を欲しがっているiさんに
ひとつ、ル・クルーゼの鍋で作る料理の本でも買って
プレゼントいたしましょうか、と思いつきで、
夜に本屋へ行ったときのこと。
目的の本はすぐに見つかり、私はレジでラッピングを頼みました
そしてこういうイレギュラーなことは
バイトの人に言うと、面倒くさそうな対応をされた挙句、やたらと時間をかけられるのが
関の山?と世知辛い考えを持っている私なので
たくさんあるレジの中で
なるべく中堅そうな人…ネームプレートに『主任』と書いてあるおじさんを選び
包装を頼んだと思いねえ。
狙い通り、その人はにこにこしながらてきぱきとラッピングをし
包み終えた本を持ってリボンはどれにしますか?と聞きにきてくれたのだが
その一部の愛好家に熱烈に支持されているフランス製の鍋とかかわりがありそうには
全然見えなさそうなその人の口から
「ル・クルーゼの鍋いいですよね! 僕も結婚祝いにもらったんですよ」
という言葉が出きたときには
本当にびっくりした。
そして私は、
ル・クルーゼの鍋で作るとやっぱり味とかは違うんですか? 違うとしたらどう違うんでしょう?
などと質問をし、その人は煮物は美味しい気がする、しかしやはり重い、でも焦げ付きは少ないので洗いやすい気がする、などの感想を述べ
私はそのことについてのお礼を言って本屋を後にした。
…なんか漫画みたいな出来事だ。
それでも思う。
ぐりのいなくなった夜、寂しい気持ちにぐっと底まで引き込まれそうになっていた私だが
アクシデントがない限り、人間は犬より長く生きるものの
人生の時間は限られている。
ぐすぐす言っていても、ぐりの人生には特に影響はないし
損なわれるのは自分の方なのだ。
だったら楽しんだ方がいいに決まっているのだ。
だいたいぐりは今、同じ札幌市内で元気で生きている。
そういう風に心から思い、あとは本をプレゼントしたときのiさんの喜ぶところなどを
はっきりとイメージしていたので
きっと私の腹の底からどかんといい感じの力が出ていたのだろう。
そういう風にエネルギーを発揮して
まるで台風の目のように
いいものをどんどん巻き込んで進んでいくことしか人間はできない。
そしてぐりはぐりで、人生の旅を行く。
私は私で、与えられた時間を生きていく。
こうやって、人も犬も昔から生きてきたのだ。
それが世界を動かし続けてきた偉大な力だ。
これからもそうなのだろう。
心からそう思う。